親や祖父母から「こんなことしちゃダメだよ」って教わったけど、なんでなのかな?
なんて思う言い伝えやジンクスって結構たくさんありますよね。
でもそれは、昔々の人が考えた、とってもためになる教訓だったりします。
今回はその中でも靴に関する言い伝えを解釈を交えてご紹介します。
目次
1. 言い伝えの役割
「言い伝え」と辞書で調べると「何代もにわたって人から人に口づてに伝えられてきた話・伝説。」と出てきます。
文字の通り言葉で伝えられてきた教えのようなもので科学的な根拠がないものが多く、中には本当に都市伝説レベルのものもありますが、その本当の意味を考えると生活に役立つ知恵も多く発見できます。
例えば有名なものだと「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」というもの。
一説には夜爪=世詰めの語呂合わせから寿命を縮める、早死にする等言われたりもします。
言葉のままに考えると爪を切る、切らないで親の死に目に会える、会えないが決まるとは到底思えませんが…
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この言い伝えは昔々、家の照明設備がろくにない時代にできたもので、単純に「暗い中刃物を用いると危ない」という教えだと言われています。
「親の死に目に会えない」は科学的根拠など一切ないですが、「暗い中刃物を用いると危ない」は理解できますよね。
今より信仰心の厚かった時代、危険なことをさせないためにより多くの人が信じ、躊躇う内容にして、わかりやすく教え伝わったものではないでしょうか。
言い伝え、ジンクス、迷信…
言い方は様々ありますが、無下にできないものも多いのです。
2. 靴に関する言い伝え
言い伝えの中には靴に関するものもあります。
現代では「なんで?」と思うものでも、言われた時代背景や裏の意味を知るときっと役に立ちます。
今回取り上げるのはその中でも現代に通じる5つの言い伝えです。
2-1 恋人に靴を贈ると別れる(韓国)
恋人に贈るプレゼントとしてあまり人気のない靴…笑
シューズメーカーで働いていると感じるのですが、本当にプレゼントに関する問い合わせが少ないのです。
同性や家族へのプレゼントはまだしも、異性へのプレゼントとして購入される方って本当に少ないんですよね。
その中でも寄せられたお声を聞いてみると「これが欲しいと言っていたので」「一緒に選びました」なんてお声がほとんど。
サイズや好みがわかりづらいからかな、なんてぼんやり考えていましたが、実はこんな言い伝えがありました。
なんでも、恋人に靴を贈るとそれを履いて遠くへ行ってしまう=別れてしまうからタブーとされているそう。
新しい靴を履く=旅立ちを連想させ、自分の元から去ってしまうんだとか。
なるほど。
特に新しい靴となると前向きに一歩を踏み出すイメージ=どんどん先へ進んでいきそうなのは連想できますね。
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そもそも靴を贈るという行為自体が恋人相手ではなくともあまり良くないとされています。
靴は読みが「苦痛」と通じるところがあったり、「踏む」という行為から相手を侮蔑する意味と取られるとか…
もちろん現代では贈り物はルールやマナーよりも気持ちがこもっているか、相手のことを想って選んでいるかという部分に注目されることが多くなり、あまり縁起の良し悪しで選ぶことがなくなってきました。
要は「当人たちが良ければOK!」と行った具合です。
そうは言っても、年配の方への贈り物としては避けたほうがいいかもしれませんね。
…と、言うより、靴は本当にサイズ選びが困難なもの!
玄関に23.5cmの靴が多かったからと言って同じサイズの靴を贈っても合わない場合だって十分あり得るんですよね。
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実際、靴の形状によってサイズを変えているという女性も少なくありません。
私もスニーカーは24.0cm、パンプスは23.5cm、サンダルはもっと細かく、素材やデザインによって入る、入らないが大きく異なるので慎重に選びます。
なのでこの言い伝えは「靴を贈るのは失敗する確率が高いからやめたほうがいい」という忠告の意味合いが強いのではないかな、とも思います。
特に恋人からもらったものだとサイズが合わなくても言い出しづらいですしね…
どうしても靴を送りたい場合は、一緒に選ぶのが無難です。
同性どうし、特に兄弟姉妹やご家族なら大体の足のスペックが同じ等もわかりやすいですし、贈りやすいのではないかと思います。
私も姉とスペックがほぼ同じなので、自分が履いてぴったりなものを贈るようにしていて、成功率は100%です。
なんにせよ靴を贈る際は慎重に。
サプライズプレゼントにはあまりおすすめできません。
2-2 夜に新しい靴をおろしてはいけない(日本)
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日本の言い伝えなので聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
新しく買った靴を夜におろすと怪我をする、事故にあう、縁起が悪い等々…
様々言われますが、その本当の理由は想像しやすいと思います。
昔は今のように街頭などなく、夜道というのは本当の暗闇でした。
そんなもので夜に出歩く習慣などなく、夜出歩くといえばお通夜があるときくらいだったそうです。
危険な上に人の死を連想させる夜の外出をさせないように。
昔の人の思いやりが言い伝えとして現代まで伝わっているようです。
どうしても新しい靴を夜におろしたい場合は、靴底などを少し汚してから履くといいんだとか。
火で軽く炙ったり、傷をつけたり。
こちらは厄除けを目的とした迷信に過ぎないようですが、そこまでしないと外出できないとなると抑止力にはなりますよね。
今では街頭もあり24時間営業のお店もあり夜の外出なんて当たり前の時代になりましたが、やはり夜道は危険なものです。
特に新しい靴は足に馴染んでおらず、滑ったり転んだり、怪我の原因にもなるでしょう。
夜が明るくなった現代でも、やっぱり新しい靴を夜におろすのはやめたほうがいいかもしれませんね。
2-3 雨の日に新しい靴をおろしてはいけない(日本)
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夜に新しい靴をおろしてはいけないという言い伝えと似ていますが、雨の日もダメ。
その理由は、汚れるから!…ではなく。
雨というとどちらかというと陰気なもの。
悲しみや涙といった負の感情や鬱々とした心を連想させます。
雨の日の外出=人生のつまづきや汚れを連想させてしまうところから良くないとされているようですね。
しかしこちらも先の夜のパターンと同じで、雨の日は道が悪く滑ったり転んだりしやすく危険なことから外出を控えさせるための教訓のようなものでしょう。
昔は今のように舗装された道ではありませんし、視界も悪い中履きなれない靴で外出するのは危ないこと。
現代で道が舗装されていても危険なのに変わりありません。雨の日はできれば履きなれた靴で出かけたいものです。
2-4 玄関にベビーシューズを置くと幸運が訪れる(フランス)
フランスをはじめとするヨーロッパの一部地域ではベビーシューズそのものが幸運を呼ぶお守りとされています。
そのため、使わなくなったベビーシューズを玄関に飾ったり、結婚のお祝いにベビーシューズを贈る風習があるんだとか。
ベビーシューズって確かに見た目も可愛いですし、インテリアとしてもかなり優秀ですよね。
特に子供を授かりたい夫婦にとってはベビーシューズを飾っていると「赤ちゃんが履きにやってくる(妊娠する)」という言い伝えもあって、ただのゲン担ぎとはいえやってみるカップルは多いようです。
…とはいえ妊娠に関してはかなり神経質になる方も多いので、あまりジンクスを信じすぎるのもよろしくない気がします。
妊娠を焦る気持ちを利用されて、中古品を高額で買わされたりなんてことにならないよう、焦らずゆっくり自分のペースで、が大事ですね!
2-5 新しい靴を部屋で履いて、そのまま家の外に出てはいけない(日本)
新しい靴を履くとまず室内で試し履きをする方って多いと思います。
当店もそうですが、ネットショップで買った靴だとなおさらですよね。
でもそのまま外に出てはいけません、って聞いたことありませんか?
室内で履いてみてぴったりだったらついついそのまま外出してしまいそうになりますが、それは縁起が悪いとされていて、新しい靴は一回玄関の外に出てから履くのが良い、と言われています。
理由は昔のお葬式の風習にあります。
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亡くなった人は死出の旅路のために新しい履物を履かされ、そのまま棺に納められます。
昔は今のように葬儀場ではなく自宅でお葬式を執り行っていましたので、お葬式が終わると棺桶を自宅から運び出しますよね。
そのことから新しい靴を履いたまま家から出ることは出棺を連想させ、縁起が良くないとされています。
同じ理由で棺を縁側から庭へ出すため、縁側から客人を招き入れたり、葬儀以外で出入りすることも禁忌とされています。
また、野辺送りと呼ばれる出棺の儀式でも、葬列に加わる人はそのために作られた新しい草履を履きます。
座敷で新しい草履を履き、棺を担ぎ、そのまま縁側から出てお墓や火葬場まで棺を運び、帰り道で脱ぎ捨てて帰って来るのです。
これも新しい靴を履いてそのまま家から出てはいけないとされる理由です。
ちなみに野辺送りでわざわざ新しい草履を履くのも、その草履を脱ぎ捨てて帰るのも死のけがれがつくとされていたから。
また、葬儀や野辺送りは通常午後から行われるので、午後に新しい靴をおろすのも良くないとされているようです。
何事も死者や葬儀を連想させる行いはタブーなんですね。
それとここからは想像に過ぎませんが、新しい靴を履いて逸る気持ちのままに外に飛び出さないようにという教訓の意味もあるのではないかなと思います。
浮き足立った状態で外に飛び出すのは大変危険です。
一旦靴を脱いで、落ち着いて外に出ましょうという意味なのかもしれないですよね。
3. まとめ
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昔の人の言うことは意味や語源を知れば生活の知恵として役に立つことも多いです。
特に靴に関しては縁起や知恵の他に自分の身を守るためだったり、危険を回避するためだったり。
足は生活や健康と密接な関係にあります。
「足は第二の心臓」と言ったりもしますよね。
それだけ大事な足だからこそ、歩くこと、それを支える靴に関して役に立つような教えが現代まで言い伝えられているのかもしれません。
全てを盲目に信じるべきではありませんが、言い伝えられた言葉に含まれた教訓について少し考えてみるとより豊かな生活を送るヒントになるかもしれません。